賃貸アパートを住まい(自宅)にリフォームする費用|リフォーム費用の手引き

リフォーム費用の手引き

賃貸アパートを住まい(自宅)にリフォームする費用

賃貸アパートを所有するオーナー様より、1K・1DK・2DKといった賃貸向けの間取りとなっている、いくつかの空き家の部屋をリフォームによって繋げる事で、ご本人または家族が住める様な間取りの自宅にしたいというご依頼を頂く事があります。アパート経営を続けてきた中で年月が経ち、ライフスタイルの変化によって建物の用途を変えて行く事ができるのもリフォームの魅力ですね。 



コンバージョン(用途変更)リフォームは、費用についてイメージが把握し辛い内容ではないかと思います。ここでは弊社実績の事例を参考に、賃貸アパートを自宅用へリフォームする場合、どの様な工事が必要となり、どの程度の費用がかかるのかをご紹介していきたいと思います。



 


賃貸アパートを住まいにリフォームする費用の条件定義


 
今回は「一人暮らし」や「ご夫婦住まい」がターゲットとなっていた、1K・1DK・2DK程度の広さの賃貸住宅をリフォームする場合とさせて頂きます。オーナー様がそのまま自宅として利用するには狭い為、隣接する部屋の「境界壁」を解体して繋げる事で、広い間取りへとリフォームする場合とさせて頂きます。
 
つきましては「境界壁」を解体する事ができる「木造アパート」であることを前提とさせて頂きます。鉄筋コンクリート造などの場合、下記でご紹介させて頂く境界壁の解体を行う事は、構造上の問題で難しいケースがありますのでご注意下さい。
 
 


賃貸アパートを住まいにリフォームする事例と費用解説


 
 
■ 東京都世田谷区E様のリフォーム事例
【風呂付1Kの4世帯を繋げて2階建て1軒家にリフォーム】
 



 
【プラン解説】
お風呂付き1K(約22㎡)の部屋が1階と2階にそれぞれ2戸ずつ並び、計4世帯が入居できる賃貸用アパートです。その4世帯をリフォームによって上下左右と繋げる事で、3LDK(約88㎡)の一軒家として利用できる様になりました。オーナー様ご自身が利用する事も可能ですし、「一人暮らし学生向け」から「家族世帯向け」にターゲットを変更して、再度賃貸物件として貸すことも可能だと思います。



【リフォームプランのポイント】
玄関ドアは1階のバルコニー側を解体し、本来の入口とは反対側の道路面に新しく設置。もともとの玄関位置ですと、周辺に構造上で撤去したくない柱が多いため、玄関収納が設置できる広めのスペースを確保する為の思い切ったプランとなっております。
日当たりの良い2階にLDKを配置した設計となっております。
限られた空間の中で、スペースを有効利用した間取りとなっております。



【費用内訳】
■建物全体に関わる主な工事
・仮設工事(搬入搬出費、養生費等) 100,000円
・解体工事 168,000円
・処分費(解体後の残材処分 他) 230,000円
・塗装工事(建物全体の室内木部塗装など) 150,000円
・電気工事(建物全体の防災設備工事) 40,000円
・引渡し前ハウスクリーニング 65,000円
 [小計] 753,000円
 
■玄関まわり造作工事 
・既存バルコニー撤去工事 40,000円
・玄関アプローチ工事(屋外階段・ポスト) 110,000円 
・玄関ドア取付け工事 320,000円  
・玄関タイル工事 124,000円
・玄関収納取付工事 70,000円
・電気工事(照明・スイッチ・インターホン) 82,000円
・内装工事 15,000円
 [小計] 761,000円


1階の小さな賃貸用バルコニーを住居向けの玄関にリフォーム


 
■階段造作工事
・木工事 40,000円
・階段部材 115,000円
・階段部材取付費 130,000円
・階段手すり取付工事 55,000円
・電気工事(照明・スイッチ等) 40,000円
・内装工事 30,000円
 [小計] 410,000円


1階・2階の賃貸用3点ユニットを解体した場所に室内階段と手すりを設置


 
■1階 間取り変更工事
・廊下まわり 445,000円 
・洋室まわり 535,000円
・収納まわり 130,000円
 [小計] 1,110,000円
 
■2階 間取り変更工事
・廊下まわり 350,000円
・寝室まわり 140,000円
・LDまわり 340,000円
・収納まわり 130,000円
 [小計] 960,000円
 
■2階キッチン工事 
・キッチン本体(W1950 食洗機付き) 495,000円
・キッチン取付に関連する工事費 345,000円
 [小計] 840,000円


賃貸用ミニキッチンからシステムキッチンに交換して機能とサイズをアップ


 
 
■窓工事
・2重サッシ本体(9窓) 323,000円
・2重サッシ取付費(9か所) 105,000円
・網戸交換工事(10か所) 82,000円
 [小計] 510,000円
 
■給湯器交換工事
・1階 給湯専用給湯器交換 128,000円
・2階 給湯専用給湯器交換 128,000円
 [小計] 256,000円
合計560万円となっております。



※壊さずに残した3点ユニットについては既存を利用しておりますので、交換工事は行っておりません。ユニットバス・洗面台・便器の新規取付工事を検討される場合は、3種合わせて150万円前後の追加費用になると思います。
 




 
■ 東京都江戸川区S様のリフォーム事例
【賃貸物件の101号室と102号室を繋げて3LDKの住まいへ】
 



 
【プラン解説】
築24年、家族世帯向け賃貸アパートで隣り合った43㎡(2DK)の101号室と102号室を、住居用の86㎡(3LDK)にリフォームした事例です。柱などを出来る限り撤去せずに、強度(耐震)を保った間取りを提案させて頂いておりますが、工事においては内部は柱以外はほとんどの内装部分を一度解体してから作り変える「インナー・スケルトン」リフォームとなっております。
 
【リフォームプランのポイント】
ご自宅として利用するためにキッチンなどの水まわり設備をグレードアップさせるだけでなく、「玄関クローク」「対面キッチン」「ウォークインクローゼット」といったこだわりを随所に設けております。
木造アパートの場合は構造の性質上、隣家の生活音などが聞こえやすいというお話しも少なくありません。賃貸住宅として人に貸すのであればそれで良いとしましても、オーナー様ご自身や家族が暮らす環境となると話しは変わってきます。先にご紹介した「世田谷区」の事例も同様でしたが、2重窓の導入や断熱材の追加など、生活しやすい環境を整える工事についても必要になってくると思います。
同じような理由で見落としがちなのが電気のブレーカー工事となります。今回は容量の少なくアンペア数の上限が決まっている単二ブレーカーが設置されておりました。これですと、家族世帯で生活するケースでは電気容量が足りなくなってブレーカーが落ちてしまう事が予想されますので、アンペア数に上限の無い(設定可能)一般家庭向けの単三切り替え工事も実施しております。電柱からの引き込み工事や分電盤本体の交換、東京電力への申請手続きなどを合わせると40万円程の費用がかかっております。



 
【費用内訳】
■建物全体に関わる主な工事
・仮設工事(搬入搬出費、養生費等) 65,000円
・解体工事 477,000円
・処分費(解体後の残材処分 他) 345,000円
・電気工事(分電盤 単三切替工事) 404,000円
・引渡し前ハウスクリーニング 80,000円
 [小計] 1,370,000円
 
■玄関まわり造作工事 
・玄関ドア取付け工事 200,000円  
・玄関床コンクリート工事 80,000円
・電気工事(照明・スイッチ・インターホン) 34,000円
・玄関クローク収納棚設置 162,000円
・内装工事 130,000円
 [小計] 606,000円


玄関横に造作した大容量の玄関クローク


 
■間取り変更工事
・間取り変更に伴う木工事(材料費・大工手間) 1,151,000円
・各部屋の入口ドア取付(6箇所) 340,000円
・各部屋の窓枠材交換(11箇所) 107,000円
・各部屋のフローリング張り(72㎡) 509,000円
・各部屋の内装工事(ビニールクロス他) 560,000円 
・各部屋の電気工事(照明・スイッチ・コンセント他) 290,000円
・床下に断熱材の設置 182,000円
・収納造作工事(ウォークインクローゼット等 4箇所) 374,000円
 [小計] 3,513,000円


間取り変更と内装工事によって和室から洋室へ


 
 
■キッチン工事
・キッチン本体(W2400 食洗機付き) 377,000円
・キッチン取付に関連する工事費 224,000円
・対面カウンター設置工事 32,000円
・カップボード本体(キッチン背面収納) 230,000円
・カップボード取付費 92,000円
・床下収納設置 24,000円
 [小計] 979,000円



 
 
■ユニットバス工事
・ユニットバス本体(1616サイズ) 451,000円
・ユニットバス取付に関連する工事費 289,000円
 [小計] 740,000円 




■洗面脱衣所工事
・洗面化粧台本体(W900) 145,000円
・洗面化粧台取付に関連する工事費 82,000円
・洗濯機パン&洗濯機用水栓器具取付工事 56,000円 
 [小計] 283,000円



 



■トイレ工事
・便器本体 106,000円
・便器取付に関連する工事費 66,000円
・トイレ周辺機器(紙巻器・タオル掛) 4,000円
・トイレ内換気扇設置工事 25,000円
 [小計] 201,000円



 
■給湯器交換工事
・給湯器本体(24号 エコジョーズ) 118,000円
・リモコン(キッチン・バス) 45,000円
・給湯器取付に関連する工事費 59,000円 
[小計] 222,000円 
 
■窓工事
・2重サッシ本体(4窓) 194,000円
・2重サッシ取付費(4か所) 70,000円
・既存窓ガラス交換(2箇所) 42,000円
 [小計] 306,000円
合計822万円となっております。
 
 
 


リフォーム費用のまとめ


 
賃貸アパートから住まいにリフォームするという、特殊な事例を2つ取り上げさせて頂きました。
リフォーム面積がそれぞれ「88㎡」「86㎡」とほぼ同じ広さなのですが、費用については「560万円」「822万円」と価格差が生じており、こだわり度合いや既存部分の再利用範囲などによって費用が変動致します。
 
また、アパートという事で今回はいずれも外装(屋根・外壁・防水など)のリフォームは行っておりません。外装工事を行わない前提であれば、木造と鉄筋コンクリート造の違いはありますが、弊社で以前の実績をもとに作成させて頂いた「マンション向けの全面リフォーム概算一覧表」の金額が、今回の特殊なテーマであるアパートのリフォーム費用と類似してくるのではないかという結論に至りました。



黄色く塗らせて頂いた欄が560万円のリフォーム、ピンク色の欄が822万円のリフォームに近い内容および価格帯となっておりますので、ご参考にして頂ければと思います。
 
※あくまで鉄筋コンクリート造のマンション向け概算表ですので、完全一致するとは限りません。