賃貸マンション…火災後のリフォーム
- 70代
- 東京都
- 男性
- 作成日時 : 2016/03/28 11:34
- マンション
- 保証/アフターメンテナンス
- 賃貸
賃貸マンションの大家です。借主が失火で74㎡の占有部の6割くらいが壁・床・天井含めての焼けです。まあ燻製状態で特に火元キッチンはひどいです。
借主の火災保険・当方大家の火災保険ありですが、今後リフォーム現状復帰のリフォームまでの手続きや注意点について教えてください。
重大過失ではない模様です。消防・警察からの情報はまだありません。地元の不動産会社経由での賃貸です。 この機会に多少のプラスのリフォームは可能でしょうか?注意点は?リフォーム中の賠償は請求できるでしょうか?機会損失がありますが。借主は大手会社の借り上げで家賃は会社からの振込みですが、借主の火災保険は地元不動産会社経由です。
現状復帰までにするか?この機会にプラスリフォームするかでも悩んでいます。
両者の火災保険の関係はどうなるのでしょうか。よろしくお願いいたます。
山商リフォームサービスからの回答
賃貸物件の火災に伴う原状復帰のリフォームという事で、弊社では火災保険適用に伴うリフォームの請負は、これまでマンションでしたら数件の実績がありますが、基本的には専門外となりますので、状況によっては工事対応が難しい事も少なくありません。
しなしながら、せっかく今回お問い合わせを頂きましたので、ご質問者様の疑問に回答させて頂きたいと思います。弊社の取引先保険会社の過去の判例や最近の傾向を基にした見解となりますので、あくまで一つの意見として参考にして頂ければと思います。
火災に関する保険については、大家である貸主様の加入している「火災保険」と、借主様の加入している「借家人賠償保険(特約)」の2つが主な対象となります。
今回は重大過失ではなく、軽過失の可能性が高いという事ですが、借主様が借家人賠償保険に加入する理由としては、退去時に建物を原状復帰する義務が生じている為となります。今回は、火災によって現状復帰が難しくなってしまいましたのでその保険対象となる訳です。
一方で火災を起こしてしまった人を守る規定もありまして、分かり易いケースとしては、もし火災で隣の家に火が燃え移ってしまった場合、火災を起こしてしまった人はその隣の家まで保証する義務は生じません。その為、隣家の方は、被害者の様な立場ですが自身の加入している火災保険を利用する事となります。
今回の様なケースでも同様でして、建物の構造体部分までは修復の責任を負わなくても良いという考え方があります。ただし、それらの構造体部分も含めての修復が必要となりますので、結果的に貸主様が加入している建物の火災保険を利用する事例が以前は多かった様です。
しかし近年では軽過失とは言え、火災を起こした本人側の保険が優先されるべきという考え方に変わってきており、まずは借主様の借家人賠償保険を利用するケースが多くなっております。
ただしここで一つ問題がありまして、この借家人賠償保険は、現状復帰を行うリフォーム費用の査定において「時価」での保証額となってしまいます。つまり、建物の経年劣化などが減価償却されてしまうので、実際にリフォームに必要な費用の全額は支給されない事となります。
そこで不足金額については、貸主様が加入している火災保険を利用する形になると思います。こちらは時価ではなく真価で査定されると思いますので、必要なリフォーム費用全額が対象となります。また、この保険を利用するメリットとして「臨時費用特約」が挙げられます。こちらは、現状復帰の修復に必要なリフォーム費用とは別に、火災による影響でその他の臨時支出が発生する事を想定した特約となっており、修復代金のおよそ20-30%を受け取る事が可能です。
火災後のリフォームについては、あくまで現状復帰が基本となりますので、プラスアルファのリフォーム代を含む事は難しくなりますが、この臨時費用特約から受け取った金額をそういったリフォーム代に充てる事は一つの方法だと思います。
リフォーム期間中の家賃保証については、請求する権利はあると思いますので、保険会社や代理店を通してまずは交渉されてみては如何でしょうか?
以上となりますが、ご加入の保険内容によって変わってくる可能性があります。借家人賠償保険が優先される傾向とお伝え致しましたが、例えば貸主様の火災保険が利用されて、その保険会社が立て替えた費用の一部を貸主様加入の保険会社へ求償するというケースもあると思います。
実質は保険会社同士の話し合いによる様ですので、上記情報をもとに詳しくはご加入の保険会様や代理店担当者様とご相談頂ければと思います。