スケルトンリフォームとリノベーションの違いとは…|リフォーム質問板

リフォーム質問板

スケルトンリフォームとリノベーションの違いとは…

  • 30代
  • 東京都
  • 女性
  • 作成日時 : 2016/10/11 13:02
  • 家全体(フルリフォーム)
  • 中古
  • 山商の理念・社内規定

スケルトン・リフォーム、フルリフォーム、リノベーションの違いを教えて下さい。

山商リフォームサービスからの回答

「スケルトン・リフォーム」「フルリフォーム」「リノベーション」と、似た様な表現が複数ございますが、その違いについて業界・産業としての明確な定義や区分けは、定まっていないと思います。

ウィキペディアの解説となりますが、リフォームとは老朽化した建物を新築当初の様なレベルに修復させる工事を指し、部分的な工事の場合は特にリフォームに分類される傾向です。

一方、リノベーションについては修復するだけではなく、その建物の性能や価値を高める工事を指し、あまり小規模な工事は含まれません。主に中古物件に関連付けて表現される事が多く、事実、一般社団法人リノベーション住宅推進協議会という団体では、「中古住宅を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせること」と定義しております。

それでは、今回ご質問のありましたスケルトン・リフォームやフルリフォームを実施した場合は、リノベーションの定義の様に性能や価値の向上が行われていない事になるのでしょうか。……もちろん、そんな事はありません。リフォームという表現であっても、性能や価値の向上は一般的に行われている工事と考えております。


弊社は、会社名に「リフォーム」が含まれておりますので、リフォームと表現するケースが多いのですが、私共なりに「スケルトン・リフォーム」「フルリフォーム」「リノベーション」をそれぞれ定義させて頂く場合、下記の様な区分けになると思います。

分かり易い表現の「スケルトン・リフォーム」から参りたいと思います。「スケルトン」を直訳しますと、「建物の骨組み・躯体」「内部の構造が透けてみえる事」などとありますので、この言葉の通り、木造住宅でしたら柱や基礎などを残して、その他の全てを解体してリフォームする事を指します。また、マンションの場合は室内の床・壁・天井ともに、コンクリートスラブがむき出しになるところまで全てを解体するリフォームを指します。リフォームの中では最も新築に近く、設計の自由度も高い大規模な工事となります。

「リノベーション」の定義としましては、主に中古物件の性能と価値を高める大規模な工事を指します。ただし、必ずしも「スケルトン・リフォーム」とイコールではありません。全てを解体せずとも、住宅性能を高める工事は可能な為です。反対にスケルトン・リフォームを実施する場合は、ほとんどのケースで建物の性能や価値も向上致します。その為、工事を行う建物が中古物件の場合に限り「リノベーションを実施する」とも表現できる事となります。
「中古物件のスケルトン・リフォーム」≒「リノベーション」が成り立ちます。

最も範囲の広い表現が「フルリフォーム」となります。「フル」を直訳しますと「全部の」「いっぱいの」「内容的に充実した」という様な意味となりますので、「全体的にリフォームする」という表現をさせて頂きます。
つまり、賃貸向けの物件をローコストで全体的にリフォームするケースであっても、価値を高める為のリノベーション工事であっても、スケルトン・リフォームであっても、その全ては「フルリフォーム」の定義に含まれます。


最後に1つアドバイスとして、お客様方には気を付けて頂きたい事があります。

弊社に「スケルトン・リフォームを実施したい」とお問い合わせを頂くケースがあるのですが、お客様によくお話しを伺ってみますと、必ずしもスケルトン・リフォームが必要ではない場合が少なくありません。全てを解体せずとも既存の建物を活かしながら工夫する事で、予算を抑えつつもお客様にご満足頂ける提案が可能なケースがあります。

それでは何故、このお客様は最初から「スケルトン・リフォーム」と表現されてしまったのでしょうか?…もちろん言葉の解釈の違いという事も考えられますが、場合によっては事前にご相談された他のリフォーム会社様に話を聞いてもらったところ、スケルトン・リフォームを勧められたから…という可能性もあります。

既存の建物を活かしながら間取り変更など大規模にリフォームしていく事は、設計力・技術力において高いレベルが要求される工事であり、多くの経験と知識が必要となります。リフォーム会社としては、工事規模によってはスケルトン・リフォームを実施して頂いた方が工事難易度が軽減できるだけでなく、更に契約金額の高額化も見込めるという思惑がある訳です。つまり工事店側の都合が優先された提案という事ですね。

新しく見積りやプランを依頼する会社に、最初から安易に「スケルトン・リフォームを実施したい」と言ってしまいますと、スケルトン・リフォームの実施を前提で話を進められてしまい、リフォーム代の高騰を招く可能性もありますので、お気を付け頂ければと思います。

もちろんスケルトン・リフォームの実施が必要なケースもありますので、その辺りはお客様がしっかりとリフォーム会社の説明で、事前に理由を理解する事が大切です。